決戦直前

決戦直前

異界の歪みに妙な動きがあると伝え聞き、
君は境界騎士団の砦に駆けつけた。

すでに多くの魔道士たちが集まっている。

異界の歪みの影響か、空には暗雲が渦巻いている。

そんな空を見上げていると、まるで季節外れの雪のように、白い羽が舞い落ち
てきた。

そのひとつひとつがわずかに燐光を帯びており、ありきたりな言葉だが……。

幻想的な光景だった。

〈ウィズ〉
何が起こってるにゃ?

舞い落ちてくる白い羽の先に人影が見える。その輪郭は、人の、女の子のよう
にも見えた。

ただ一点違うのは、彼女には大きな翼があるのだ。

その少女は君の前に舞い降りると、やさしく笑った。

〈???〉
あなた、知り合いのお人好しさんに雰囲気がとっても似ています。

〈ルシエラ〉
私はルシエラ。天界の使いです。私のお仕事を手伝ってくれませんか?

君はルシエラという名の少女の話を詳しく訊いてみた。

彼女の話は、これから異界の歪みを通ってやってくる敵を討つ手伝いをしてほ
しいということだった。

〈ルシエラ〉
とても簡単なお仕事ですから、すぐに終わらせることができますよ。

〈ウィズ〉
異界の歪みを通ってやってくる敵がそんな簡単に倒せるとは思えないにゃ。

君は、ウィズの言うことも一理あるな、と思う。

本当に? と白い翼の少女に確かめてみた。

〈ルシエラ〉
ええ、本当です。だから騙されたと思って手伝ってください。

彼女の言葉は悪びれる様子もなかった。本気でそう信じているのかもしれな
い。

〈ルシエラ〉
じゃないと世界が滅びちゃいますよ。

〈ウィズ〉
にゃッ!

これまでの会話からとんでもなく飛躍したその言葉に、君とウィズは一緒にな
って驚いた。

ど、どういうこと? と君はルシエラに訊ねた。

どうやら彼女が追いかけている敵は別の異界をひとつ壊滅させるほどの敵らし
い。

〈ウィズ〉
それを早く言ってほしいにゃ……。

彼女の言葉を聞いた誰もが戦いは不可避なものであると悟った。

その様子を見て、ルシエラは白い翼を羽ばたかせ跳びはねる。

〈ルシエラ〉
やった! 騙されてくれるんですね?

いや、騙されてはいないけどね……。 と君はやんわりと訂正した。

〈ルシエラ〉
はーい。なんでもいいでーす。

〈ルシエラ〉
とりあえず歪みを通ってくる敵を倒してみましょうか。よろしくお願いします
ね。

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