メティースの提案で歴史を『イイもの』に
書き替える事になった君たち。
〈メティース〉
私が思うにそもそも『神界崩壊』さえ
起きなければスっごく丸く収まってた
と思うわけ。
神界崩壊?
〈ウィズ〉
今私たちがいるこの神界は
やがて7つの別々の異界に
別れてしまうんだにゃ。
君は歴史書の内容を思い出す。
かつて存在していた、
神々が統べる7つの異界を内包する大異界――
神界。
それは、天界の聖王、
イアデル・セラフィムの崩御から間もなく
崩壊した。
メティースの話では、
今ある正史の悲劇は神界の崩壊に端を発して
始まったものだという。
〈トート〉
ちゅーことはなんや?
聖王さんの亡くなる日に行けばええんか?
〈メティース〉
うん。そういう事!
〈トート〉
でもお前らアレやで。
そういう悲しい日なんやから、
あんま目立ったらあかんで。
〈トート〉
ワイの泡ん中にいれば
他の人からは見えんから
とりあえずそっから出んことな。
〈トート〉
あとワイ、泡を作とる間は一切喋れんから。
〈ウィズ〉
泡って何にゃ?
〈トート〉
まぁ見とけば分かるわ。ほなメっちゃん、
始めよか?
〈メティース〉
おっけい。
そう言うと、メティースはトートと顔を合わせ、
呪文を唱え始めた。
〈イストワーレ〉
みなさん、メっちゃんにくっついてください。
〈メティース〉
さあ、みなさん今から時の流れを超えますよ。
〈メティース〉
悠久を刻むセティエの名において、
我らをしばし時の流れより解き放て。
〈トート〉
ピューィ。
鳥のような声で一鳴きすると、
トートは口から虹色に輝く膜をだし、
それを膨らましていく。
それはシャボンの泡のように、
君たちを包みこんでいく。
〈イストワーレ〉
さぁ、みなさん。
今から時の流れを超えますよー。
君たちは〈時〉を超え、数年後の天界、
聖王、イアデルの崩御する日へと渡っていく。
天界の宮殿では今まさに
イアデルがその生涯を終えようとしている。
横たわるイアデルの傍らに、
ミカエラとイザークの姿もある。
〈イアデル〉
お前たちのどちらが我の後を継ぐか……
我の最後の言葉としてそれを伝える。
苦しそうな声で続けるイアデル。
〈イアデル〉
次代聖王は……ミカエラとする。
〈ミカエラ〉
そんな……私には無理です。
〈イアデル〉
お前なら、大丈夫じゃ。
アクサナもついておる。そして……。
と、イアデルはイザークを見て、
〈イアデル〉
イザークよ……。
なぜ我がお前を選ばぬか、分かるか?
〈イザーク〉
俺は天界ってガラじゃない。
それを聞いたイアデルは静かに微笑む。
〈イアデル〉
これで思い残す事はない……。
それがイアデルの最期の言葉となった。
〈イザーク〉
……。
イザークは何も言わずに窓から飛び去っていく。
〈ミカエラ〉
イザーク待って!
と、ミカエラは翼を広げて飛び立つ。
〈メティース〉
さ、私たちも後を追うわよ。
と、メティースはトートの作った魔法の泡の中で
走り始めるが、全く前に進まない。
〈メティース〉
みんな! こんな泡ぶち破って走るわよ!
〈トート〉
ピ、ピィー。
天使の姉弟を追い、君たちは全力で走り始めた!
魔物を倒しながら先を急ぐ君たちの前方に、
ミカエラの姿がある。
〈ミカエラ〉
イザーク……。
ミカエラの先にはイザークがいるが、
彼は使い魔と話をしているようだ。
〈トート〉
あ、あれはスクブスちゃんや!
と、使い魔の方へ走り寄ろうとするトートを、
〈メティース〉
あ、待て! このハレンチアニマル!
メティースが慌てて引き止める。
君たちは陰に隠れて様子を窺う。
〈ミカエラ〉
イザーク、あなた何をしようとしているの?
〈イザーク〉
……。
〈スクブス〉
これはこれはお姉様……。
〈ミカエラ〉
あなたに姉と呼ばれるいわれはありません!
〈スクブス〉
あら、あるわよ。
だってイザーク様と私は、
フフフフ……。
〈スクブス〉
一緒に魔界へ行くんだから。
〈トート〉
な、なんやと!
スクブスちゃんはワイの女や!
トートがスクブスの前に飛び出す。
〈スクブス〉
キャ、何よ。このケダモノは!
スクブスは君たちの存在にも気が付いて、
〈スクブス〉
あらあら、今日はずいぶん邪魔が入るわねぇ。
イザーク様、ちょっと待っててくださいね。
〈メティース〉
さぁ君、アイツをやっつけて!
言われるまでもない。
君はカードに魔力を込めた!
〈スクブス〉
ぐ……。
君の放った攻撃を受け、スクブスは倒れる。
〈トート〉
あー、スクブスちゃん……
ワイとは遊びやったんか……。
〈メティース〉
ちょっと黙ってて!
〈イストワーレ〉
トート、
あんなのにたぶらかされてたんですね……。
一方で、スクブスはその身を起こすと、
〈スクブス〉
イザーク様、魔界でお待ちしています。
羽を広げて飛び去っていく。
〈ミカエラ〉
イザーク、
あなた使い魔に惑わされていたのよね?
魔界へなんか行かないわよね?
〈イザーク〉
いや、俺は自分の意思で魔界へ行くんだ。
俺は魔界で王になる……。
〈ミカエラ〉
そんな……どうして……。
〈イザーク〉
姉さんが……天界の王になるから……。
イザークはそう言い残し飛び去っていく。
〈ミカエラ〉
……。
メティースがたまらず飛び出す。
〈メティース〉
ミカエラ様……
私の事を覚えていらっしゃいますか?
〈ミカエラ〉
あなたは確か、
いつか私を助けて頂いた旅の方では?
〈メティース〉
はい……でも私ホントは――
〈トート〉
あかんでメっちゃん!
自分の身分バラシたら……。
〈メティース〉
歴史を司る神殿からやってきたんです!
ミカエラ様、今すぐイザーク様を追いかけて!
〈メティース〉
私は未来の事を知っています。
このままだとイザーク様は本当に……。
メティースは、歴史を変えに来たという
自分の目的をミカエラに話していく。
〈トート〉
あーあ。言うてしもた……。
〈ウィズ〉
言うとどうなるにゃ?
〈トート〉
監督不行き届きで、
ワイがクロノワにシバかれる……。
なんだそんなことか。
〈イストワーレ〉
結構怖いんですよ、クロノワ先輩は。
〈ウィズ〉
想像はつくにゃ。
〈トート〉
しっかし、綺麗やなぁ……ミカエラしゃん。
トートはじっとミカエラを見つめる。
〈ミカエラ〉
メティースさん。状況は分かりました。
しかし私一人で魔界へ行くなど……。
〈メティース〉
ご安心ください!
我々にはあの高名な『黒猫の魔法使い』が
付いております!
〈ミカエラ〉
では、私と一緒に……
魔界へ行っていただけますか?
〈トート〉
当ったり前やないかい!
〈ウィズ〉
お前が言うにゃ!
こうして君たちは、
イザークを追って魔界へ行く事になった。
